【循環器総論-3】心拍出量その1

循環器総論

【循環器】 

循環器総論―心臓の生理

今回は心拍出量について説明します。

心臓血管外科では手術の後ICUで術後の患者さんを管理しますが、その際に最も重要なことは心拍出量を保つことになります。

  1. 心拍出量とは
  2. Frank-Starring(フランクスターリン)の法則とForrester(フォレスター)分類
  3. 前負荷
  4. 後負荷
  5. 心収縮力

1 心拍出量

心拍出量とは1分間に心臓から全身へ送られる血液の量のことです。

以下の式で表せられます。

  • 心拍出量 = 心拍数 × 一回拍出量

*心拍数とは1分間の心拍動数のことです。血圧計や心電図で測定されます。正常範囲は60−100回です。

*一回拍出量とは一回の拍動で心臓から送り出される血液の量です。測定するためにはカテーテル検査をする必要があります。正常範囲は60−100mlです。

拡張期の心室内血液のうちどれくらいの割合で拍出できたかを示したものが駆出率で、非常に大切な数字になります。正常範囲は60−80%です。

臨床では駆出率を英語でEjection Fraction、EFといいます。

一回拍出量は前負荷、後負荷、心収縮力によって変化します。

2 Frank-Starringの法則とForrester分類

その説明の前に循環器では非常に有名なFrank-Starringの法則とForrester分類を説明します。

  • Frank-Starringの法則

Frank-Starringの法則とは心筋の長さと収縮力の関係を説明しています。

 「ある一定の進展までは拡張期に心筋を伸ばせば伸ばすほど次の収縮期での収縮は強くなる」ということです。

限界を超えると、それ以上は伸ばしても収縮力は弱くなります。

https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/shinkin/ion/ion-4-1.html

次にForrester分類です。

  • Forrester分類

Forrester分類とはSwan-Ganzカテーテル検査により測定した値に基づいた心機能の重症度分類です。

縦軸に心系数、横軸に肺動脈楔入圧の値を入れで4分割します。

http://med-infom.com/?p=974
  • 心系数とは

心系数とは心拍出量を体表面積で割ったもので、2.2を基準にしています。

心系数2.2は末梢循環を保つために必要最低限の圧を示しており、それ以下になると末梢循環不全になること意味しています。

末梢循環不全とは一番身近なものに寒い時に唇が紫色になるチアノーゼが有名です。

  • 肺動脈楔入圧とは

肺動脈楔入圧とは肺の毛細血管の圧のことです。

基準値は肺うっ血が起こらない最高値である18mmHgとなっています。

これは18mmHg以下では肺うっ血が起こる可能性が高いことを意味しています。

肺動脈楔入圧が18mmHg以上の時、毛細血管の圧が高く成りすぎて、毛細血管の中の水分が毛細血管の外に出て肺の中に溜まってしまう。

あるいは本来なら肺から毛細血管の中に戻らなければならない水分が戻れずに肺に残ってしまうことが起こります。

いずれにしても肺に水が溜まり、本来の肺の機能である酸素と二酸化炭素の交換ができなく成り呼吸困難が起こります。

https://gyoukouseiranpt.com/?p=8965

図のように動脈では血圧(静水圧)が35mmHgの力、静脈では15mmHgで血管外に押し出そうとしています。

これに対して、組織から血管内への押す力(膠質浸透圧)は25mmHgであるから、動脈では差し引き10mmHgで組織内へ、静脈では10mmHgで静脈内へ水分が移動します。

この数値は適当に設置したものですが、例えば肺動脈楔入圧(図の静水圧)が10mmHg以上上昇したら静脈からも組織内へ水分が出ていくようになるため、組織内へ水分が溜まってしまいます。

実際の臨床ではこの値は18mmHgを基準に考えられています。

http://pebbleinsky.hateblo.jp/entry/20100425/1272163814

Frank-Starringの法則とForrester分類を重ねると心不全の治療の目安になります。

それぞれの治療は以下の通りです。

  • ●Ⅰ群 安静
  • ●Ⅱ群 利尿剤、血管拡張剤
  • ●Ⅲ群 輸液、強心剤、ペーシング
  • ●Ⅳ群 強心剤、大動脈バルーンパンピング(IABP)経皮的人工補助法(PCPS)

I群<II群・III群<IV群の順で重症になってます。

そもそも重症心不全で心臓があまり動いていない(駆出率が低い)とFrank-Starring曲線が右下に移動します。

右下に移動してしまえばどんなに治療してもI群に入らないです。

そのため、Frank-Starring曲線を左上に移動させる(駆出率をあげる)必要があります。

心臓の駆出率を上げる方法は後述する心収縮力を上げる治療になります。

その治療は薬物治療と機械的補助です。

  • 薬物治療―カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)やPGE阻害剤
  • 機械的補助―大動脈バルーンパンピング(IABP)、経皮的人工補助法(PCPS)

今回はここで一度区切ります。お疲れ様です。

まとめ

  • 心拍出量とは
  •  心拍出量 = 心拍数 × 一回拍出量
  • Frank-Starring(フランクスターリン)の法則とForrester(フォレスター)分類
  • Forrester分類ーSwan-Ganzカテーテル検査により測定した値に基づいた心機能の重症度分類です。
  • Frank-Starringの法則ー心筋の長さと収縮力の関係、つまり
  •  「ある一定の進展までは拡張期に心筋を伸ばせば伸ばすほど次の収縮期での収縮は強くなる
  • ということです。

次回はようやく前負荷の説明をします。

Photo by Gustavo Fring from Pexels Copy

コメント

タイトルとURLをコピーしました