【循環器総論-16】血圧とは

循環器総論

循環器総論―血圧とは

今回は血圧に関して説明します。

血圧とは

血圧とは心臓からの拍出された血液が血管壁を押す力(圧力)のことです。

心臓は酸素や栄養を全身に送るため収縮拡張を繰り返しています。血管に圧力をかけることで、動脈を介して規則正しく全身の組織に血液を流しています。

血圧を決定する主な要因として

  • ●心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量(心拍出量
  • ●血管のしなやかさ(弾力性
  • ●血液が血管に流れ込む際の末梢血管の抵抗力(血管抵抗)、
  • 血液の粘度 などが挙げられます。

血圧の数値

血圧を言う時に上の血圧、下の血圧と言う時の上と下とは収縮期血圧拡張期血圧のことです。

心臓が収縮した時血液が血管に当たり強い圧力がかかります。

逆に心臓が拡張した時は次の血液を心臓の中に溜めている状態ですので血管内の血液は少なくなり、圧力が下がってきます。

  • 上の血圧収縮期血圧
  • 下の血圧拡張期血圧
病気が見えるVol2 p282

血圧はmmHg(ミリメートルエイチジー)で表されます。

Hgとは水銀を表す元素記号です。

血圧120mmHgの時水銀を120mm(12cm)押し上げる力で血管に圧力がかかっていると言うことです。

もし、血圧を水銀ではなく、水ではかると(mH20、メートルエイチツーオー)で表すと、

血圧120mmHgだった場合は162cmH20(1.62m)になります。

血圧測るたびに血圧計の水が1.6m垂直にあがり、それを測定するのは臨床的に非常に使いにくいためmmHgを使用します。

1日の中での血圧

血圧はずっと一定ではなく、ホルモンや交感神経の影響によって1日の中で波があります。

朝は低くて、夕にかけて日中動くため高くなります。

また、運動や緊張により一時的に高くなったりします。

季節にも影響を受け、寒いと末梢血管が収縮し、血圧は高くなり、暖かいと弛緩するため血圧は低くなります。

  • 上昇する要因―夕、寒い、運動、緊張、精神的ストレス
  • 低下する要因―朝、暑い、リラックス
病気が見えるVol2 p287

そのため、血圧は一過性に高くなったり、低くなったり1日の中でもしているため重要なのは平均値になります。

朝、夕に一度だけ測り、1週間の平均値を基準に考えます。

血圧の影響

高血圧が継続すると血管にかかる圧力が高い状態が続くこととなり、血管壁が傷つきます

そのため、血管が修復と損傷を繰り返し、徐々に硬くなってきます。いわゆる動脈硬化の状態となります。

硬化した血管は高い圧力がかかった際に破けてしまうことがあります。

脳の血管であれば脳出血(脳卒中)冠動脈であれば心筋梗塞となります。

また、高血圧が継続していると各臓器にも高い圧力がかかり続けているため徐々に機能が低下します。高い血圧を出しつづけるため心臓が疲れて心機能低下して心不全になってしまったり、腎臓の機能が低下して腎不全となってしまうこともあります。

病気が見えるVol2 p290

いろいろ難しいことが書いてありますが、要は血管が損傷することで動脈硬化となり、様々な病気の原因となります。

  • 脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全の危険性が高くなる
病気が見えるVol2 p284

収縮期血圧が10mmHg上昇すると

  • 脳卒中罹患と死亡リスク―男性で20%、女性で15%上昇
  • 冠動脈疾患罹患と死亡リスクー男女ともに15%ずつ上昇

血圧の適正値

血圧の正常値は年齢によりますが大体、収縮期血圧140mmHg以下、拡張期血圧90mmHgでコントロールすることが多いです。

大動脈解離などの血管の疾患がある場合は収縮期血圧120mmHg以下と厳しめに管理します。

病気が見えるVol2 p285

ここでの血圧は病院での血圧ではなく、家で測った1週間の平均値が重要になってきます。

病気が見えるVol2 p286

病院で測ると来るまでに運動したり緊張により高くなることもあるからです。

病気が見えるVol2 p286

家での血圧と病院での血圧が両方高い場合は治療の適応になります。

高血圧の種類

高血圧には原因が明らかではない本態性高血圧と原因が明らかな2次性高血圧があります。

病気が見えるVol2 p292

基本的にはほとんどの方は本態性高血圧であり、生活習慣による高血圧です。

まれに若年者で2次性高血圧であり、治療を要する方もいます。

本態性高血圧治療

高血圧とリスク要因により3段階に分類します。

病気が見えるVol2 p286

リスク別に治療がありますが、緊急性がなければ、まずは血圧が上がる原因を取り除くことが大切になります。

病気が見えるVol2 p294

食習慣運動習慣ストレスなどを改善することで薬を飲まなくても血圧が下がることは多々あります。

一度降圧療法が始まれば半永久的に内服が継続されます

そうならないように生活習慣を見直す必要があります。

病気が見えるVol2 p294

それぞれの生活習慣の効果は以下のようになります。

全てできれば収縮期血圧23mmHg程度下げることができるため、現在血圧160mmHgで内服している方は薬を止めることができる可能性があります。

病気が見えるVol2 p295

まとめ

血圧とは

  • 血圧とは心臓からの拍出された血液が血管壁を押す力(圧力)のことです。

血圧の数値

  • 上の血圧―収縮期血圧
  • 下の血圧―拡張期血圧

1日の中での血圧

  • 日中活動中に高く夜間睡眠中に低い

血圧の影響

  • 血管が損傷することで動脈硬化となり、様々な病気の原因となります。

血圧の適正値

  • 収縮期血圧140mmHg以下、拡張期血圧90mmHg

高血圧の種類

  • 本態性高血圧―原因が明らかではない
  • 2次性高血圧―原因がはっきりしている

本態性高血圧の治療

  • 食塩制限
  • ●食塩制限以外の食事
  • ●適正体重の維持
  • ●運動習慣
  • ●節酒
  • ●禁煙

これで今回は終わります。お疲れ様です。

次回は動脈硬化について説明します。

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